2017年9月16日

玉ねぎのみじん切り ―本質とは― 

(読了目安20分~1時間?)人気ブログランキングへ

今回の投稿は、このブログ史上一番長くなりました。
読了目安として20分と書きましたが、いろいろな動画を解説するので、
実際に動画も見てもらうと、1時間ほどかかると思います。
「みじん切り」や料理の話に興味がある人は、
1時間のテレビ番組を見るつもりでお付き合いください。

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◎玉ねぎのみじん切り ―本質とは―

今回は、マスターが見た200以上の動画の研究から、
「世界一美しい」と思う「玉ねぎのみじん切り」の動画を紹介します。
その動画を通して、「本質」について考えてみましょう。
きっと「世界一美しい生き方」のヒントになるはずです。
これから家庭を持つ女性、またはすでに主婦の女性には、
包丁の使い方について考えるいいきっかけにもなると思います。


きっと「本質とは特別なことではなく、誰もが到達できるもの」
ということもわかってもらえるはずです。
「努力次第で誰もが到達できる」というのが、
「本質」の大きな特徴です。


このブログ画面の冒頭にも、

「愛に近づくために特別なことをする必要はなく、
なにが愛なのか理解し、小さな愛を積み重ねていくだけです」

と書いてあるとおりです。


この投稿でマスターが伝えたいのは、
単に「玉ねぎを切ろう!」ということではなく、

「これを人生に当てはめて、本質を考えるヒントにしてください」
「愛は誰もが努力次第で到達できるものです」

ということと、

「本質は商業とは別の場所にあります」
「最後は自分で考えて本質に近づいてください」

ということです。


独身女性や主婦だけでなく、料理のプロにも見てもらいたい内容です。
というか、プロの人なら、より大きな感動を味わってもらえ、
自分がやっていることを見つめ直すいいきっかけになると思います。


では以下、本題に入りましょう。

・・・

先日、「多くの大学が経営難に陥っている」というニュースを見て、
マスターがいつも書いている、
「経営学部がある大学が経営難になるのはなぜか」
という質問を思い出しました。
「〇〇大学経営学部」という看板を掲げている大学が、
経営難になってしまうんです。
お金をもらって経営学を教えている大学が、
経営難になってしまうなんて矛盾していますが、
この矛盾は、「看板を掲げている場所に本質があるとは限らない」、
ということを示しています。


簡単に言えば、
「経営学部という看板に経営の本質があるとは限らない」、
ということです。


そしてそのとき、マスターは思い出したんです。
料理の世界も、「調理師専門学校」「栄養専門学校」などという看板に、
料理の本質があるとは限らないということを・・・
今回はその一例を、玉ねぎのみじん切りの動画を通して
みなさんにお伝えしようと思いました。


マスターが考える「世界一美しい玉ねぎのみじん切り」と、
世の中のプロたちがYouTubeにアップしている動画を比べてみましょう。
そこからいろいろと見えてくるものがあります。



◎玉ねぎのみじん切りの条件

ではまず、動画を見るための準備です。
マスターは、「玉ねぎのみじん切り」の条件として、
できるだけ以下の条件を満たすものが本質だと考えています。



1:安全なこと
切り方にはいろいろありますが、
できるだけ安全な切り方で切ることが大切です。
具体的には、包丁を前に押して切る「スライド切り」が理想です。


2:速いこと
同じ作業をするなら、速いに越したことはありません。
作業時間が短いということは、プロの世界で言えば、
顧客サービスに充てる時間が増えるということです。
フードプロセッサーを使うよりも速いと思えれば本物です。


3:静かなこと
できれば作業は静かな方がいいです。
音がうるさいということは、
それだけ道具に負担がかかる(擦り減る)ということです。


4:散らからないこと
切ったものが飛び散ると、
それを拾ったりまとめたりするのに時間がかかります。
床に落ちた玉ねぎを踏んだまま歩いたりすると掃除が面倒です。
まな板の上でまとまる切り方ができればそれが何よりです。


5:涙が出ないこと
玉ねぎと言えば「涙」を思い浮かべる人もいると思いますが、
涙が出なければ作業が楽ですよね。
玉ねぎの細胞をつぶさない「スライド切り」という切り方をすることと、
作業時間をできるだけ短くし、
素早く切ることができれば涙は出にくくなります。
「涙が出ない品種を買えばいい・涙が出ない裏技を使えばいい」
という意見もありますが、とりあえずここでは触れません。


6:包丁とまな板が減らないこと
包丁とまな板が強く接すると、両者とも減ってしまいますから、
強く接することがないようにするのが大切です。
また、切った玉ねぎを集めるために刃を横に移動させたり、
「二度打ち(切ったものをさらにザクザクと切る作業)」をすると、
包丁とまな板の減りが早くなります。
刃の横移動や二度打ちはない方がいいわけです。


7:手にニオイがつかないこと
同じ作業をするなら、できるだけニオイがつかない方がスマートです。
手のひらを使って集めると、ニオイが移ります。
できれは玉ねぎをおさえている手だけ、しかも指先だけしか
ニオイがつかないのがベストです。


8:一本の包丁で切ること
同じ作業をするのであれば、
複数の包丁の持ち替えをしない方が優れています。
時間だけでなく、包丁の管理や研ぎの手間も省けます。


9:一種類の切り方で切ること
同じ作業をするのであれば、何種類かの切り方を使い分けるのではなく、
一種類の切り方で切ることができれば簡単ですよね。
一種類の切り方をしっかり習得することで安定して切れるようになるなら、
その切り方を、多くの人が早く習得することができます。



以上がポイントです。



◎動画紹介

最初にマスターが紹介する動画は、上記の条件を満たしている切り方です。


ひとつが、
「玉ねぎのみじん切り」

もうひとつが、
「玉ねぎのみじん切り(粗みじん)」

です。

1個250グラム前後の玉ねぎの半分をみじん切りにします。
「みじん切り」は約50秒、「粗みじん」は約25秒です。
一種類の包丁で、安全な切り方「スライド切り」で切ります。
両方とも、切り初めから切り終わりまで、編集なしのノーカットです。
というか編集の技術がないので、撮ったままをアップします。


1:玉ねぎのみじん切り




2:玉ねぎのみじん切り(粗みじん)




以上です。
一本の包丁で一種類の切り方でできます。
練習すればできそうでしょ?

※2018年現在動画のような切れ方をする包丁が買えるのはここです
マスターの弟子が包丁メーカーと共同開発で作りました


◎世の中の動画集

では世間の一般的な「みじん切り」がどんなものか、
YouTubeでじっくり見ながら比較してみましょう。
ウインドウを2つにして、このブログと動画を同時に見れるようにすると、
より理解が深まると思います。


最初は「ABCクッキングスタジオ」、最後は「ハウス食品」、
クックパッドやヤマサ醤油も出てきます。
全部で15本の動画です。
「それぞれの動画が、その会社やその人を表現している」
こう思って見ると、一層興味深いはずです。


確認ですが、マスターの目的は、
動画の管理者を批判することではないのでわかってくださいね。
それぞれいろいろな生き方、価値観があっていいと思います。


世の中で使われている「切り方」には、
業界で統一された呼称がなく、名前がない切り方さえあります。
そのため以下の動画の解説では、
マスターが包丁の使い方を教えるときの呼称になっています。


では、まずメジャーな「ABCクッキングスタジオ」の動画です。
全ての動画を見た後、もう一度マスターが紹介した動画を貼り付けます。
初めに見たときと比べて違う感覚が味わえるはずです。


動画のURLは直接リンクされていません。
お手数ですが、コピペでお願いします。


1:玉ねぎのみじん切り ABCクッキングスタジオ

https://www.youtube.com/watch?v=UaZ8RY57zW0

使っている切り方は以下の3種類です。
・肩の引き切りのような切り方
・削ぎ切り (へぎ切り・まな板と並行に切る作業)
・高圧スライドスイング切り

ABCクッキングスタジオは、マスターの店のスタッフが「体験」で行ったことがあり、
どのぐらいのものか予想はしていました。


「みじん切り」と紹介されていますが、大きさは「粗みじん」です。
作業工程が編集されていて、全体の流れがつかめなくなっています。
上からの映像を見る限り、基本のポジションがとれていないので、
おそらくしっかりと鍛えられた人ではないと思います。


玉ねぎには、「まな板に水平の切り込み(削ぎ切り)」が奥まで入っていません。
上からつぶすような「高圧スライドスイング切り」を使っているので
玉ねぎが広がってしまうのと、涙が出てくると思います。
高圧がかかっていることがわかるのが0:25あたりの映像です。
これでは涙も出ますし、時間がかかってしまいます。
映像をノーカットで流せないのは、たぶん手際が悪くて見せたくないからです。
この講師は、ABCのスタッフが渋々やらされているものだと思います。
ABCに人材を育てる力がないことや、
この動画をチェックできる技術を持った人がいないこともわかります。
それから、この玉ねぎの大きさは「粗みじん」の大きさですから、
みじん切りと言ってしまうとウソになります。
料理教室ですから、生徒さんに信用される表現を使う必要があると思います。


この動画は、「みじん切り」なのに出来上がりは「粗みじん」、
そして時間もかかり、基本ができていないスタッフが講師として出ています。
ABCクッキングスタジオの実力がわかる内容でした。
子供たちが将来「ABCで勉強したい」と言ったら、
やめるように説得すると思います。



2:辻料理学園 上級調理師科

https://www.youtube.com/watch?v=dPGAsaLBJSw

使っている切り方は以下の3種類
・垂直切り
・削ぎ切り 
・スライドスイング切り

使っている包丁は2種類
・ぺティーナイフ
・シェフナイフ

(以下長めの解説です)
この動画は、画像下の説明を見ると、
「辻学園調理製菓専門学校上級調理師科」の生徒のものです。
二本の包丁を持ち替えながら、まさに「洋食」という切り方で切っています。
もちろんこの切り方にこだわった試験ならこれでOKです。
しかし実戦でこの切り方だと、遅くて涙が出るので、
本質的な切り方ではありません。


たとえば、玉ねぎ半分で包丁の持ち替えが3回ありますが、
玉ねぎの量が多くなり、忙しい現場だとしたら、
包丁を落とす確率が上がり危険です。
また、二本の包丁を使うということは、一本と比べ、
保管場所や研ぎの手間が増えるということです。
シェフナイフでスライドスイング切りをしていますが、
これは動きが遅くなるだけでなく、
スライド切りと比べて玉ねぎの細胞がつぶれ、涙が出やすくなります。


車の運転を思い出してみてください。、
自動車教習所内と現実の交通社会では、
必要な技術がまるで違うと感じたことがあるはずです。
「公道に出ると、教習所で習ったことが役に立たないことがある」
ということです。


料理の世界も同じです。
勉強と実戦では、まるで違うこともたくさんあります。
しかし上記の上杉君は、玉ねぎのみじん切りをするとき、
生涯この方法を使うかもしれません。
「先生が言っていたから」とか、
「お金を払って習った方法だから大切にしたい」
という気持ちもあるかもしれません。
ただ、みなさんも見てわかるように、
この方法では時間もかかり、危険でバタバタしています。


日本料理の世界でも同じことが言えます。
玉ねぎのみじん切りの方法は、
道具と技術の進歩によって変化してきましたが、
技術を教えることで給料をもらっている人や、
新しいことを学ぶ気がない人は、
昔ながらの方法を教え続けています。
そしてお金を払って学ぶ生徒たちは、
「先生が言うんだから」と、その方法に価値を見出してしまうと、
昔ながらの方法を後世に伝え続けてしまいます。
特に日本料理の世界はその傾向が強いと思いますが、
ひとつ「本音」というか「現実」の話として、おもしろい例があります。
以前、和包丁一式を持っている元職人がマスターの店に来たとき、
マスターがお願いし、包丁セットを持って来てもらいました。
袋に入っていたのは、4本の和包丁の他に1本のシェフナイフでした。
そして4本の和包丁は、全く手入れされていないものでした。
刃こぼれと錆があり、彼女は「これ全然使ってないんですよ」と言いました。
そして「家では全部これでやってます」と、
刃渡り210ミリの片刃のシェフナイフを見せてくれたんです。
実は一番初めに紹介した動画で使っている包丁は、
片刃のシェフナイフで、彼女の言葉にはマスターも納得しました。
料理人としては和包丁を使っていても、
仕事以外ではシェフナイフを使うわけです。
「日常生活では和包丁にメリットはない」
ということなんですが、それが本質です。


「新素材・新技術の登場」という時代の流れと共に本質を考えていくと、
伝統的な和包丁と最新のシェフナイフでは、
日常レベルで考えた時のトータル性能に大きな差があり、
和食の職人でもシェフナイフに行き着くわけです。
「和包丁とシェフナイフの違いは、和服と洋服の違いと似ている」
と言えばわかりやすいかもしれません。
和服にも優れた面はあると思いますが、今の時代、
なぜ和服を着る人が少なくなったか考えれば本質が見えてきます。
値段、手入れの手間、手軽さ、性能・・・これらと似たような理由で、
和食の職人もシェフナイフを使うわけです。


話は戻りますが「辻料理学園 上級調理師科」の上杉君には、
最後は自分で考え、より本質的なみじん切りを研究してもらいたいですね。



3:国際調理製菓専門学校 シェフの実演

https://www.youtube.com/watch?v=WH1q8tqWD3E

専門学校カフェコースの料理の先生の動画です。
多くの人とカメラの前でトークと実演ができる度胸は素晴らしいですが、
それ以外、特に目立ったものはありません。

使っている切り方は以下の2種類です。
・垂直切り
・スライドスイング切り

使っている包丁も2種類です。
・ぺティーナイフ
・シェフナイフ


洋食系のシェフなので、上の辻学園の動画と同様、
包丁を持ち替え、洋食系の切り方をやっています。
包丁の持ち替えと、垂直切りとスライドスイング切りを使うので、
時間がかかり、涙も出ます。
ぺティーナイフを使うのは、刃が短く、刃の厚みが薄く抵抗が少ないため
少ない力で安全に高速で切ることができるからですが、
初めに紹介した切り方の方がトータル的に優れています。
また、この動画では、玉ねぎが手に付いてしまったり、
広がってしまったりしているのと、ABCクッキングスタジオ同様、
みじん切りの作業を最後まで見せてくれません。
やはり細かい部分の仕上げで手間取っているため、
編集でカットしていると思われます。



4:意外と知らない!?野菜の切り方 基本10選

https://www.youtube.com/watch?v=O_oI2kEZLIo

開始後、1:20あたりが「玉ねぎのみじん切りのようなもの」です。
これは明らかに素人の人が切っていて、見ていておもしろかったです。
ただ、ダイソーで買える「GALAXY」という100円の包丁が好印象でした。
100円の包丁でもこの程度はできるわけです。
よく研げばもっと繊細な仕事ができます。



5:oignon hacher オニオンアッシェ動画

https://www.youtube.com/watch?v=dW4BdSO0Ius

包丁二本に加え
・垂直切り
・削ぎ切り
・肩の引き切り
・二度打ち
の4種類の切り方を使っています。

涙の原因になりやすい「肩の引き切り」を使っています。
また、さらに涙の一番の原因になる「二度打ち」で切っています。
二度打ちとは、一度みじん切りにした玉ねぎを、
もう一度上から叩くように切っていく方法です。
具体的には、動画の0:57からが二度打ちです。
また、二度打ちのとき、玉ねぎを集めるために
左手の手のひらを使っていますから、これでは広範囲にニオイが移ります。
さらに包丁の刃をほぼ直角にまな板に当てたまま玉ねぎを寄せている
(刃の横移動をしている)ので、包丁の刃とまな板の消耗が多くなります。
作業の量と比較して音が大きいです。
あと、これでは時間がかかります。
トータルで評価すると、使う包丁2本、切り方4種類、
涙が出る、包丁とまな板が減る、手にニオイが移る、遅いなど、
いろいろな意味で本質から大きく離れた切り方だと言えます。



6:◆◆美しく分かりやすい映像で学ぶ料理の基本◆◆
たまねぎのみじん切り 

https://www.youtube.com/watch?v=SoPwiIS93E8&t=3s

包丁は一本ですから合理的です。
しかし「垂直切り」を使って切っているのと、
「二度打ち」をしているため、涙が出る切り方です。
最後まで見せてくれるのはありがたいですが、
やはり最後の処理がうまくできず、作業が遅くなっています。
また、二度打ちをしているため、手にニオイがつき、
まな板上で刃の横移動もしていて、刃とまな板が減ります。
最後に出るフードスタイリストの北館明美さんが切っているとしたら、
この人は、「本質」の探求にはあまり興味がないような気がします。
映像は美しいですが、切り片は美しくないのでもったいない気がします。



7:料理の基本レッスン 玉ねぎのみじん切り

https://www.youtube.com/watch?v=GRA_wsmK8TY

実はこのシリーズはことごとく「ずっこけ系」の動画なので、
マスターは「お笑い」としてお気に入りです。
包丁は1本なのでOKです。

・垂直切り
・削ぎ切り
・二度打ち
この3種類の切り方です。

ほとんど意味のない部分に削ぎ切りを入れたり、
編集で早送りを使ったりしています。
最後は、芯も一緒に切ってしまって、それをつまんで取り除いています。
刃の横移動も使っていますし、ひとつひとつに手際が悪く、
お笑いとして見るとおもしろいです。



8:玉ねぎみじん切り早技

https://www.youtube.com/watch?v=lXTXFjyGqYc

かなり荒れていますね・・・

このみじん切りは、マスターが初めに紹介した動画に
共通する切り方があり、興味深いものです。
薄刃包丁のアゴ(かかと)の部分の高さがあるからできる切り方です。
ただ、涙が出る「垂直切り」を使っていることと、ムダが多いこと、
まな板の上が散らかるなど、印象は悪いかもしれません。
削ぎ切りをする場所がほとんど意味がない場所だったり、
二度打ちをしたり、音が大きいこと、
そして刃の横移動を使うことなどの短所などがありますが、
本人が「邪道切り」と自ら書いているところが好印象でした。
もちろん「美しい切り方」とは言えません。



9:たまねぎ微塵切りを100倍早く切る方法

https://www.youtube.com/watch?v=JPIVd3g0-ig

1本の包丁なのでいいと思います。
使っている切り方は以下です。

・手首の引き切りのようなもの
・削ぎ切り
・垂直切り
・スイング切り
・スライド切り

削ぎ切り(動画0:32~0:34の切り方)をする範囲が少しで、
これではほとんど意味がありません。
玉ねぎの奥の方まで刃が入れば意味があると言えますが、
おそらく10ミリ程度しか刃が入っていないので、
むしろやらない方がいいと言えるかもしれません。
なぜ玉ねぎに対して削ぎ切りをするのか知らないような気もします。
まな板の上で刃の横移動もやっていますから、
包丁とまな板を大切にしているとは言えません。
時間は速く感じるかもしれませんが、
「粗みじん切り」ですから、このぐらいは当然のスピードです。
そして・・・結局「粗みじん」を実演しただけで、
「100倍早く切る方法」は教えてくれませんでしたね・・・
この動画では70秒で「粗みじん」を切っています。
マスターが初めに紹介した動画の切り方なら、
粗みじんだと50秒でできてしまいます。
「140倍早く切る方法」を教えてあげたくなりました。



10:【シェフの裏ワザ】超速!楽々~玉ねぎのみじん切り

https://www.youtube.com/watch?v=0z0id4QAwU4&t=39s

この動画は注目です。
この方法は、「包丁のアゴの部分を上げて切る(玉ねぎを全部切らない)」
という部分で、マスターが紹介した動画と考え方が同じです。
一本の包丁で一種類の切り方(高圧スライドスイング切り)です。
ただ、洗練されている切り方とは呼べません。
玉ねぎの根の部分を残したまま切っていないので、
最後にバラバラになってしまい、その処理に時間がかかっています。
2:08からの作業は「スピード感」はありますが、
よく見ると、20ミリ以上の大きさのものもあり、
粗みじんと呼ぶこともできません。
結局みじん切りにするために「二度打ち」という作業をすることになるので、
手間がかかってしまい、時間が必要になります。
作業全体としてはいいリズムですが、玉ねぎの飛び散りなどの
バタつき感が否めず、「洗練されていない」という雰囲気です。



11:簡単、確実。散らない、広がらない。玉ねぎのみじん切りのやり方

https://www.youtube.com/watch?v=pcCVurXZ_NM

10の動画と同じで、この動画の考え方も、
マスターが紹介した方法を取り入れています。
しかし、最初からまな板の上が散らかっています・・・
根を残しておけば、この動画のような切り方をしなくても
より合理的な切り方ができます。
最後の処理に手間がかかりすぎるため、
全体としては参考にできない内容だと思います。
(長い動画なので興味がある人は見てください)



12:逆転の発想★簡単玉ねぎのみじん切り★ クックパッド

https://www.youtube.com/watch?v=br_9wq1biKg

今ノリノリのクックパッドならきっと・・・
と期待したくなりますが、もちろん美しい切り方ではないです。

包丁を持ち替えず、「一本だけ使う」というのは、
現実的な家庭レベルで考えてくれているので好印象です。
使っている切り方は以下の2種類です。
・垂直切り
・スライド切り

この切り方でもみじん切りはきれいにできますが、
最後の処理に手間がかかり、結果的に遅くなることは明らかです。
この動画はクックパッドのロゴが入った公認の動画です。
「クックパッドどうした?!」というのがマスターの感想です。
ただ、動画に出演している人は比較的上手です。
スライド切りがうまくできているので安心して見ていられました。
世界一美しいかどうかと言えば程遠いと思います。



13:みじん切り【ヤマサ醤油】


https://www.youtube.com/watch?v=Yz0lMdmMLvA&t=181s

3:26から玉ネギのみじん切りです。
使っている包丁は一本です。
切り方は以下の2種類です。
・垂直切り
・高圧スライド切り

「ヤマサ醤油」という有名な会社の動画です。
この動画に出ているのは、協和調理師会会長の「大里利光」という人ですが、
動きがなんとなく素人っぽく感じます。
彼より上手な人がいても、まず彼に出演の声をかけないといけないとか、
いろいろと事情があるんでしょうね。
「高圧スライド切り」で切ると玉ねぎがつぶれて広がってしまうんですが、
彼の切り方だと後半でその状態になります。
そして、どうなるか見ていたところ、やっぱりカットされていましたね。
しかもみじん切りを集める時に「刃の横移動」をやっていたので、
刃とまな板が傷みます。
切った食材を、包丁の刃を使って集める時は、
包丁を寝かして集めるか、包丁の背を使って集めれば
刃を傷めずに集めることができます。
全体的に仕事に慣れていると言えますが、「講師」ではなく、
「主婦歴が長い素人のオバサン」の仕事を見ている感覚でした。



14:玉ねぎのみじん切りが異常に速い二人がギネス目指して勝負した!!!

https://www.youtube.com/watch?v=E00fLY7j1Eg

どれだけ速いのか楽しみでしたが、それほどでもありません。
切り初めの時間は1:06からです。
全体としてバタバタと荒れていて目を覆いたくなりますが、
作業そのものは、とても慣れた印象を受けました。
彼は、今後鍛えれば、かなりのレベルになるような気がします。
おもしろい動画でした。



15:みじん切り 【まずはここから!|料理の基本】

https://www.youtube.com/watch?v=d9S4z8fLVyg

ハウス食品の動画です。
包丁の持ち替えがなく、一見美しく見える動画です。
ただ、例によって最後まで見せてくれない編集になっています。
包丁はどちらかと言えば良く切れる部類で、好印象です。


まず冒頭で、玉ねぎの根がついたまま、根を下にして切っていますが、
切った直後のまな板の上を見てみてください。
乾いた根で散らかってしまい、これを取り除くのに時間がかかります。
この時点でアウトです。
みじん切りに入る前に根の部分を取り除いているので、
最後になって玉なぎがバラバラになり、処理に手間取ります。
多くの動画が最後まで見せてくれずに途中で終わるのは
おそらくこの、「最後の処理」に手間取るのが理由です。


この動画は、世の中の仕組みがわかるおもしろい動画です。
動画では、冒頭に、「みじん切りは1~2ミリ」と紹介しています。
そして少し大きめのは3~4ミリで「粗みじん」と紹介しています。
動画はみじん切りの紹介ですから、1~2ミリのものができるのかと思ったら、
でき上がったものは、3~4ミリ平均に見えます。
中には10ミリ前後のものも混ざっています。
本来紹介するなら、「粗みじん」と紹介するべきところですが、
「みじん切り」と紹介しています。


さらにおもしろいのは、みじん切りの紹介をした後、1:13あたりから
「もっと細かくしたい場合は(二度打ちをしましょう)」
と文字が出てきますが、
1~2ミリの大きさの玉ねぎを二度打ちを使ってさらに細かくすると、
おそらくクリーム状になってしまいます。
0・5~1ミリのみじん切りなんてね。
ですから動画にふさわしいタイトルは、
玉ねぎの「粗みじん切り」ということになります。
ハウス食品ともあろう大企業でもこんなミスが出てしまうのは、
「動画を作る人と文字を入れる人が同一人物ではない」
「現場で担当者同士の連携がとれていない」
「最終チェックを本物のプロがやっていない」
ということです。
実は世に出ている多くの動画で、
実際の大きさや太さと、数字には差があります。
ほとんどが、「1ミリで切ります」と言っても
実際に映っているものは「太いもの・厚いもの」になっています。
(最後に余談として例を挙げますね・動画も紹介します)



ということで、以上、15種類の動画を見ていただいたところで、
もう一度初めに紹介した動画を見てみましょう。


玉ねぎのみじん切り



玉ねぎのみじん切り(粗みじん)




繰り返しますが、今回マスターが紹介した動画のみじん切りには、
以下の特徴があります。

安全 (スライド切りしか使っていない)
速い (全体の切り方が合理的な結果)
静か (スライド切りの特徴)
散らからない (刃の研ぎ方に理由があります)
涙が出ない (スライド切りの特徴)
包丁とまな板が減らない (スライド切りの特徴)
手にニオイがつかない (左手の指先に少しだけ)
一本の包丁で切れる (持ち替えがない)
一種類の切り方で切れる (合理的で安全)


一本の包丁と一種類の切り方で、これだけのことができます。


改めて見てみると、この動画の切り方なら、
多くの条件で高得点になることがわかると思います。
玉ねぎが散らからないのが不思議かもしれませんが、
その主な理由は、包丁を「片刃」に研いであるからです。
「片刃」で切ると、切った玉ねぎが右側に移動してくれ、
包丁にくっつくことがなく、整然と切れてくれます。
使っている包丁は刃渡り180ミリのシェフナイフです。



初めての人でも、ちゃんと練習をすれば、
スピードはゆっくりですが、すぐにできるようになります。
ただ、基礎ができていないと危険ですから、
初心者の人は慎重に練習してください。


ところで、今回紹介した動画の登場人物って、誰だと思います?
ABCクッキングスタジオの講師より上手なのは言うまでもありませんが、
料理専門学校の先生や、玉ねぎのみじん切りの動画を
YouTubeにアップしているどの料理人より上手です。
そしてなんと言っても、13番目の「調理師会会長」より上手です。
「そんなの、マスターしかいないでしょ?」と思ったら・・・違うんです。
「だったら、マスターの師匠ですよね?」という声も聞こえそうですが、
マスターに師匠はいません。


お見せした動画の主は、マスターの店で勉強中の20代の女性です。
マスターは、表向き料理教室の看板を出していませんから、
彼女は、料理教室に通う生徒でもなく、卒業生でもありません。
他の専門学校の卒業生でもなく、料理の先生でもなく、
調理師でもなく、なんの肩書きもないただの素人です。
しかし、マスターの指導で包丁の使い方を練習をした結果、
ここまでの技術を身につけました。
もちろん玉ねぎのみじん切りだけじゃありませんよ、
20代にしては他の作業もなかなか上手です。


ここで主にプロのみなさんに提案です。
状況が許すなら、この切り方を取り入れ、
生徒さんや子供たちに伝えていきませんか?
マスターもこれまでに、ある程度のレベルと思われる
200以上の動画を研究しましたが、
紹介した動画より合理的な切り方を見つけていません。
おそらく日本ではまだ少数しかやっていないはずですから、
「私は先生からこう習ったから」とか
「本にはこう書いてあったから」と昔の方法にこだわらず、
新しい方法にシフトしていきましょう。
通信手段が黒電話からスマホに移行したのに、
包丁の使い方が黒電話の時代のままなんてヘンですからね。
さらに、もし今回の動画より一層本質に近い切り方の動画を見つけたら、
または自分で切り方を編み出したら、ぜひマスターに教えてください。
マスターも勉強し、このブログで発信します。



◎本質は商業とは別の場所にある

マスターは冒頭で、以下のように書きました。


「本質は商業とは別の場所にあります」
「最後は自分で考えて本質に近づいてください」


初めに紹介した玉ねぎのみじん切りが、
「本質に近い切り方」だということは、
おそらく他の動画を見ながら検証すれば明らかです。
しかし、まだ世の中のほぼ全ての人が、昔の方法で切っています。
その理由は、「お金を払って学ぶ」という「商業の世界」では、
先生は新しいことができず、伝統的な切り方しか教えないため、
生徒たちは新しい切り方を知ることはできないからです。
つまり、「料理教室に行くと、新しいことが学べない」ということです。


マスターの店で勉強中のスタッフが手に入れた技術は、
言ってみれば、プロの世界では手に入らない新技術です。

「プロの世界でも手に入らない技術を手に入れたということは、
彼女はどれだけ大金を払ったんだろう」

なんて思いますか?


マスターが教えると、いったいいくらかかるんでしょうか・・・
なるべく安全に、ムリをせず段階を踏みながら、
マスターがつきっきりで教えるマンツーマンの個人指導です。


そのお値段・・・


なんとタダ。

※もちろんやる気がある人にしか教えません


先日も書きましたが、人類を家族だと考えたとき、
娘に知恵を伝えてお金をもらう親はいませんよね。
若い人が知恵を受け継ぎ、それをさらに後世に伝え、
みんなが一歩でも幸せに近づけるなら、それがなによりです。


でも、マスターが教えたことが完全なはずはありませんから、
彼女は自分の力で今の技術をさらに成熟させ、
より本質に近づく努力をする必要があります。
その努力が、「愛する努力」です。


商業の世界だと、教える側は、
お金を得ることが目的になってしまい、
受け継がれてきたことを伝えるだけの役割を演じてしまうんです。
ですから、あなたがあなた自身で考え、
新しい物を生み出し、本質に近づこうとするなら、
商業の世界から離れた場所で、愛をベースに考える必要があります。
「愛のようなもの」を売り買いする「商業の世界」で右往左往しても、
愛は決して手に入りません。


人間が欲しいものは「愛」、そして、愛は商業とは別の世界にあります。
お金を出して買うのではなく、自分で考え抜き、知恵を使って得るものです。
今回紹介した「玉ねぎのみじん切り」は、
そのことをわかりやすく見せてくれたと思います。



◎まとめ

玉ねぎのみじん切りの動画には手だけしか映っていませんが、
切っている本人が楽しんでいることは伝わりましたか?
楽しいのでストレスが溜まらず、本人は体力が続く限り、
何個でも切ることができます。
これが、料理を楽しむということです。
料理は、苦しみながらやるものではありません。
それは、自分が食材の立場になってみれば、そして、
食べる側の立場になってみれば、よくわかるはずです。


マスターは、
「料理に愛をこめるにはどうすればいいか・・・」、
常にこう考えながら厨房に立っています。
玉ねぎのみじん切りに限らず、食材を切る作業は、
いつも楽しくて仕方ありません。
切る練習をすると、切るのがどんどん楽しくなっていくんです。


さて、みなさんは、「練習をすればどんどん楽しくなっていく」
という感覚は、勉強やスポーツで体験したことがあると思います。
それと同じように、「生きる練習」をすれば・・・
そうなんです、生きるのがどんどん楽しくなっていくんです。


「生きる練習」というのは、日々の小さな愛の積み重ねです。

元気に挨拶をする
お礼を言う
否定的なことを言わない
体臭や口臭に気をつける

など、身近なところからでいいんです。
そして「自分に愛をそそぐ」ということを実践していけば、
生きる練習は順調に進みます。


「生きる練習」をせず、ただ「つまらない」と嘆いているだけでは、
人生はそのまま過ぎてしまいます。
包丁の練習では、もちろん手を切ることもあります。
でもそれはひと回り大きく成長するチャンスでもあります。
切ったからといってやめてしまったら、
その先にある楽しみは味わえません。
今、心の翼が折れてしまっている人もいると思いますが、
心の傷が治ったら、また前を向いて歩き始めてください。

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余談:数字と実際のサイズが違う例

たとえば「ベルエポック札幌」という料理学校の
特待生試験の「大根の千切り」という動画は、
「1~1.5ミリの均一なものです」と言いながら、
先生が切った千切りは、同じ画面に出てくる楊枝の太さと比較すると、
2ミリ以上で、しかも太さがバラバラです。
ちなみに一般的な楊枝の幅は2.2ミリです。

以下、参考にしてください。
【特待生試験実技課題】"だいこんの千切り"動画
https://www.youtube.com/watch?v=s3GIUNH2lt8 (3:04あたり)


マスターの店では食感も大切にしたいので、大根は1・5ミリ平均で切りますが、
薄切りの練習のときは、0・8ミリ以下で切ります。
ニンジンは0・6ミリ以下で切ります。
針の穴を通す遊びをするときは、0・3ミリ以下を心がけます。


以下のページに大根とニンジンの写真があったので
興味があれば見てみてください(後半です)。
紹介した動画と同じ包丁で切っています。

料理教室の本質 (マスターのブログなので直接リンクしてあります)
http://aisarenairiyu.blogspot.jp/2017/07/blog-post_13.html



おまけ:包丁の使い方(?)

https://www.youtube.com/watch?v=O8Kf-puzCTU

これは文部科学省の教育ビデオです。
この動画は、「数字と実際のサイズが違う」どころではありません。


以前も紹介したように、ツッコミどころは10箇所以上ありますが、
中でもおもしろいのは、
「指の形に関する文字の表記と映像が違うこと(3:20)」

「輪切りの紹介で、半月切りを紹介していること(3:42)」
です。


これはちょっと異常事態です。
プロのみなさんにとって、この動画は、
「子供が安全に料理を楽しめる」と言えないと思いますが、
包丁の使い方に関する国のレベルはこの程度です。
原因は、おそらく包丁を使える役人がいないのと、
映像の下請け会社が利益を優先し、プロを雇わなかったことなど、
関係者それぞれにプロ意識がなかったことだと思います。


・・・まあこれも社会の仕組みのひとつですけどね。
国は「本質の追求」よりも、行政と番組製作会社との癒着や、
ビデオの審査官のレベルを審査する機関がなく、
みんなその場しのぎで仕事をしていることがよくわかると思います。
みんなストレスが溜まって、目先の収入が欲しいんでしょうかね。


大人たちが自分の幸せに責任を持ち、
子供たちの安全や未来のことを真剣に考えるようになれば、
こんなビデオはなくなるはずです。



今回は以上です。
長い投稿を最後までありがとうございました。

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