2017年7月12日

針穴にニンジンを

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マスターの店がある地域は観光地のため、
梅雨の時期は来客数が減ります。
ペンキ塗りや日曜大工の仕事もできない雨の日、
マスターは、あえてじっくりと包丁と向き合うことがあります。


今回は、針穴にニンジンを通す作業を例に、

「細心の愛をそそぐ努力をすれば、
普段からあたりまえのように愛をそそげます」

という話をしたいと思います。



◎糸ニンジン

みなさんは「針しょうが」って知ってますよね?
針のように細く切ったしょうがのことです。


でも今回のタイトルは、「針穴にニンジンを」です。
文字通り、針穴にニンジンを通してみたいと思います。
当然、針より細く切らないと、針穴は通りませんよね・・・


ということで、「糸ニンジン」を作ってみましょう。


糸ニンジンを作ることだけを目的にすると
「そんなことできてどうなるの?意味ないじゃん、食べたらみんな同じよ」
と思う人もいるかもしれません。

マスターもそれだけが目的なら
「糸ニンジン?そんなの作っても意味ないじゃん」
なんて思います。


・・・しかし・・・


マスターの目的は、糸ニンジンを作ることじゃないんです。
糸ニンジンを作るのは、自分の身体のコンディションのチェック、
包丁のコンディションのチェック、技術のスキルアップ、
またはスキル維持のためなんです。


糸ニンジンを作る作業は、集中力が必要な細かい作業ですから、
練習できるときにしっかり練習しておくと、
日常の包丁の動作に余裕を持たせることができます。
同じ作業なら、より速くでき、同じ時間をかけるなら、
より丁寧な仕事ができるということになり、
結局のところ、「お客様に対する愛」といえます。


ところで、実際に千切りしたニンジンを針の穴に通せるかどうか、
みなさんもちょっと考えてみてください。


「できるわけない」と思ったらできませんよ。
なぜかというと、挑戦しようとしないからです。
なにごとも、どうやったらできるか本気で考えて実行した人が、
努力を重ね、工夫を重ね、ついにできるようになるんです。


さーて、それじゃ実際にやってみましょうか。
よかったらみなさんも挑戦してみてください。
用意するのは、「よく研いだ包丁(マスターの包丁は片刃の牛刀です)」
「硬めのニンジン」「針」、そして「やる気」です。



針セットから一番細い針を一本取り出します
この針にニンジンの千切りを通しましょう





針をよく見てモチベーションを上げます




よく研いだ包丁でできるだけ薄くニンジンを切ります
一番薄いところで0.2ミリぐらいです





まな板の上はこんな感じです





できるだけ細く千切りをして、
さらにその中から細いニンジンを選びます



















すると・・・



ほら、針の穴を通ります




一番細い針の穴に通っています




やってみると、不可能なことではないとわかると思います。
針穴は楕円なので、断面が0・5ミリ四方の千切りでは穴を通りませんが、
一方が0・3ミリなら、もう一方が0・6ミリでも入ります。
千切りの中から細いのを選べば、通すことができます。


細い部類の針に通すのは「高度な技術」のうちに入りますが、
たとえ高度なことでも、多くの人は、練習すればできるようになります。


そして、人生も全く同じなんです。
「愛」とはなにか判断し、さらにそれを「そそぎ続ける」ことは、
たしかに高度なことかもしれません。
でも、「私にはできない、そんなこと面倒」と思って挑戦しなかったら、
本当にできないままです。
どうやったら愛をそそぎ続けられるか、本気で考え、工夫し、挑戦してみてください。
そそいだものが愛なら、必ず返ってきます。


以前マスターは、料理のプロであろうお客様から、食後の会計の時、
「ここのマスターはどこかで修行をしたんですか?仕事がとても丁寧なので」
と言われたことがあります。
もちろん嬉しかったんですが、これが、「そそいだ愛が返ってきた瞬間」です。
それまでの練習の成果がお客様に伝わり、
「褒め言葉」という愛になって返ってきたわけです。
この喜びは、そそいだ愛があればこそ味わえるものなんです。
その他、お客様が「おいしかったです!」と言ってくれることがありますが、
これが、そそいだ愛が返ってきた、いちばん直接の例かもしれません。


包丁でなにかを切る練習をするときは、
糸ニンジンのように、できるだけ細く切る練習の他に、
また、「できるだけ薄く」、「できるだけ速く」などの練習もします。
そうすることで普段の作業に「余裕」が生まれ、
忙しいときの作業でも、ゆとりをもって仕事ができるわけです。



◎まとめ

できるだけ細く切る練習をしておけば、普段の仕事にゆとりが出ます。
そのゆとりが、ケガがなく、精度が高く、安定した仕事につながります。


同じように、できるだけ細心の愛をそそぐ努力をしておけば、
普段の生活で、愛をそそぐことにゆとりが出ます。
なにか起こってから考えるのではなく、
普段から「これは愛なの?」と考え、愛する努力を続けてください。
そのゆとりが、的確に愛をそそぐことにつながり、
トラブルのない安定した人間関係を生み出します。


ちなみに、「糸ニンジン」をお客様に出すことはありません。
食感がほとんどなく、色も薄くなってしまい、存在感がないからです。
「糸ニンジン」は、マスターが密かに楽しむ「愛する努力」のひとつです。



今回は以上です。
次回は「料理教室の本質」というタイトルで書く予定です。
調理師専門学校や料理教室に行こうか迷っている人だけでなく、
なにか資格を取ろうとしている人にも参考になると思います。

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今日は朝から霧でした


















買い物の途中
毎年咲くハスの花